循環器内科

肺動脈血栓塞栓症の診断と治療

肺動脈血栓塞栓症の原因


主に深部静脈血栓症と呼ばれる病気によるものです。深部静脈血栓症とは、下肢や骨盤などの深い部分にある静脈に血液の塊(血栓)ができる病気です。この血栓が血流に乗って心臓や肺に運ばれ、肺の血管(肺動脈)を塞いでしまうと、肺動脈血栓塞栓症となります。この状態では、肺での酸素交換が妨げられ、呼吸困難や胸痛などの重篤な症状を引き起こします。また、心臓にも負担がかかり、心不全や突然死の原因となることもあります。肺動脈血栓塞栓症は、重大な合併症を引き起こす可能性が高いため、早期に発見して治療することが重要です。治療には、抗凝固薬や血栓溶解薬などの薬物療法や、カテーテル治療や外科的治療などの侵襲的な方法があります。また、再発を防ぐためには、予防的な抗凝固薬の服用や生活習慣の改善が必要です。

肺動脈血栓塞栓症の症状


血栓が詰まった部位や大きさ、発症の速さなどによって異なりますが、一般的には以下のようなものがみられます。

患者さんもご自覚なくおいでになる「ふらっとした」「失神した」「意識がなくなった」は、危険な症状ですが、なかなか神殿できないこともあります。いかにも血圧が落ちたようなことが原因のような症状は、必ず医師にお伝えいただくのが良いと思います。

– 突然の息切れや息苦しさ
– 胸の痛み(特に吸気時)
– 咳や血痰
– 動悸や頻脈
– 冷や汗や顔面蒼白
– 意識障害やショック

肺動脈血栓塞栓症は、多くの場合、下肢の静脈にできた血栓が肺に飛んで起こります。

そのため、下肢のむくみや痛みなどが先行することもあります。

肺動脈血栓塞栓症の原因


以下の3つの要因が重要です。

– 血管の内側の壁に傷がある場合
– 血液が固まりやすくなっている場合
– 血液の流れが滞っている場合

これらの要因は、長時間同じ姿勢でいたり、大きな手術や怪我をしたり、妊娠や出産をしたり、悪性腫瘍や遺伝性の凝固異常などの基礎疾患を持っていたりするときに起こりやすくなります。特に長時間座っていることで足の静脈が圧迫されて血流が悪くなる現象は、「エコノミークラス症候群」と呼ばれています。

肺動脈血栓塞栓の診断


「息苦しい」などの症状や「一週間前に失神したけど本日は大丈夫です。」などと肺動脈塞栓症の症状の訴えは様々で、医師が疑わなければ、見逃しがちな印象です。

血液検査:血液の凝固に関与するDダイマーという値が上昇することが多いため、診断の手がかりとなります。右心負荷、心筋障害にはトロポニン、NT-PRO BNPも有用。

心臓超音波検査:肺動脈の手前にある右心室への負担が増加するため、右心室の状態を調べます 。


造影CT検査:造影剤を用いて肺動脈の血栓の部位や大きさなどを評価することができます 。また、足まで撮影することで下肢静脈の血栓の有無や状態も確認できます。


肺換気血流シンチ:放射性同位元素により、肺の換気と血流の状態を評価することで、血栓により血流が途絶えている部位を診断することができます 。(現在では使用頻度は少ないです。)


肺動脈造影:静脈にカテーテルを挿入し、造影剤を用いて肺動脈を撮影します 。CT検査や血流シンチと同様に血栓の部位を評価できます。(現在では診断時の使用頻度は少ないです。血圧が低下したような超重症例では、カテーテル治療を考えつつ思考する程度。)


下肢静脈超音波検査:肺動脈血栓塞栓症の原因として多い下肢静脈の血栓の有無を調べるために行われることがあります 。(現在では使用頻度は少ないです。)

これらの検査は、症状や危険因子、重症度などに応じて選択されます。

肺動脈血栓塞栓の治療とマネージメント


急性期と慢性期に大きく分けられます。肺動脈血栓塞栓症は以前は、入院が必須の時代でしたが、病態や状況により判断できるようになっています。総合的に判断し以下を決定していきます。

急性期は、入院治療か外来治療かの判断をします。慢性期治療は、外来で抗凝固療法をいつまで継続するか、採血検査や他の検査の頻度をどのように設定するかです。

各種の決定は、病態に合わせ個別な相談になります。担当医の先生とご相談ください。