血圧測定で、血圧高値が出れば、高血圧と判断できます。血圧は、暑さ、寒さ、痛み、気分不快、精神的ストレス、体位変換、運動、排便や排尿で容易に変化します。1-2秒で変化することもよくあります。このような血圧変動は、測定する時間や状況(食事前後、排便前後)によっても起こります。
そのような特徴的な血圧の変動について記載します。クリニック、健診会場や病院で、白衣の人と接したときに観察される高血圧は、「白衣高血圧」でした。これについては私のブログの他の記事で取り上げております。ご参照ください。ときに観察される特徴あるその他の血圧傾向について記載します。
仮面高血圧
仮面高血圧は、少し興味を引く名称ですが、れっきとした医学用語です。
診察室で医師が測定した血圧値は正常なのに、家庭や職場で自己測定した血圧値が高い状態のことです。仮面高血圧は見逃されやすいため、脳卒中や心筋梗塞などの発症率が一般的な高血圧と同じくらいに高いと言われています。仮面高血圧には、昼間高血圧、早朝高血圧、夜間高血圧という3つのタイプがありますが、特に気をつけたいのが早朝高血圧と夜間高血圧です 。
仮面高血圧は診察室で測定するだけではわからないため、家庭で毎日朝と夜に自分で測定することが大切です 。また、食事や運動などの生活習慣の改善や医師による適切な薬物治療も必要です 。
仮面高血圧を見逃さずに早期に発見し、早めの治療を心がけましょう。
早朝高血圧
起床時1〜2時間以内の血圧が、(上)135mmHg(下)85mmHgを超える状態です。早朝は交感神経が増強して心臓の働きが活発になり、血管も収縮することで血圧が上昇します。また、治療中の患者さんでは、1日1回投与の降圧薬の効果が最も切れやすい時間です。
早朝高血圧は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるため、早朝に自宅で血圧を測ることが重要です。
夜間高血圧
夜に下がらない高血圧のことです。夜間血圧の平均値が、(上)120mmHg (下)70mmHgより高いと夜間高血圧です。夜間高血圧は高齢者や糖尿病、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの人に多くみられます 。
夜間の血圧が10mmHg上昇すると、脳卒中、心血管疾患のリスクが20%上昇するという研究結果もあります。夜間高血圧は睡眠中の血圧を測定する必要があります。