睡眠時無呼吸症候群とは
このような症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と呼ばれる病気の可能性があります。SASは、睡眠中に上気道が閉塞し、呼吸が一時的に停止することで起こります。呼吸が停止すると、血中の酸素濃度が低下し、脳や心臓に負担がかかります。また、呼吸が再開する際にいびきをかくこともあります。SASは、日中の眠気や集中力の低下、高血圧や心疾患などのリスクを高める重大な病気です。車の運転時に、居眠りをしそうにななった経験のある方は、要注意です。心房細動など不整脈の原因になるとも言われます。
診断について
SASの診断は、睡眠時の呼吸や脳波などを測定する検査で行われます。
以前は、入院の検査が必要でしたが、最近では、ご自宅で一晩、体に測定の装置をつけ、検査をする方法が可能になっています。検査装置は次の日回収し、検査データを解析します。当院でもこの検査が可能です。
さらに当院では、入院検査に匹敵する精密検査を、ご自宅で行えるシステムも導入していますので、お気軽にご相談ください。
治療法について
SASの治療法は、原因や程度によって異なります。軽症では、横を向いて寝るとか、口を閉じた状態で寝るなど、時別な器具を用いず良くなる方もいらっしゃいます。運動、禁酒や減量は効果的です。
しかしながら重症な場合には、上気道を開放するための装置を装着する方法が必要な方も多いです。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法といいます。そのような装置は、いわゆる人工呼吸器の一種です。人工呼吸器の装着というと、不安に思う方がいらっしゃると思いますが、最近の装置は扱いが簡単で洗練されています。治療効果が高いものになっておりますので、安心してお使いいただけます。
CPAP療法とは、睡眠中に専用マスクを装着し、陽圧をかけた空気を送ることで気道を確保して無呼吸や低呼吸を抑制する治療法です。使用法は、専用機器をご自宅に導入し、そこからつながるマスクをご自身で装着して就寝します。ご自身で行えることや、高い改善効果を得られることから、現在では睡眠時無呼吸症候群の主な治療法となっています。ただし、あくまで対処療法のため、治療を止めてしまうと無呼吸や低呼吸が再発します。
考察
私は、大学卒業後、麻酔科医として医師の仕事を始めました。その駆け出しの頃に関わった小学6年生のお子さんを、この病気と診断したのを覚えています。それ後30年来、私がずっと気にしている疾患です。
寝ている状態が御本人しかわからないこともあり、睡眠時無呼吸症候群の検査をして初めて重症だったことがわかるようなことが多いです。
SASは放置すると命に関わることもありますので、夜中にいびきをかき、時々呼吸が止まっていると言われた場合は、早めに医師に相談ください。