院長ブログ

漏斗胸で、心電図異常や胸痛が出るのをご存知ですか?

心電図異常について

 循環器内科を専門にしていますと様々な心電図異常の方を診察する機会があります。
 心電図変化のために診察希望があり診察したところ、心電図変化が漏斗胸によるものであったという方がおいでになります。

 今までも、漏斗胸の患者さんの心臓の状態を心臓超音波検査で診断することをしてまいりました。しかしながら漏斗胸による心電図異常や胸部症状に悩まれている方が、私の実感以上にたくさんいらっしゃるようです。

漏斗胸の影響による息切れや胸痛

 心電図変化、運動時の息切れや胸痛は、漏斗胸の影響かもしれません。つらい症状があっても、ある程度はしょうがないと諦めている方もいました。また、大きな医療機関などで検査をためらわれる方もおいでになります。

 当院は、街のクリニックですのでお気軽にご相談いただければと思います。
 胸部X線検査、心電図検査、必要時採血検査などを行います。心臓超音波検査は、胸骨による心臓圧迫の影響を観察します。

 症状経過や検査の結果を踏まえ、御本人、ご家族様のご希望も十分配慮しつつ、今後の方針をご相談させていただきます。

漏斗胸について

 漏斗胸は、胸骨の一部が陥没し、胸郭が変形する先天性の病気で、主に胸骨、肋骨、肋軟骨が関与しています。症状は個人差が大きく、乳幼児期から目立つ場合もあれば、成長と共に徐々に顕著になるケースもあります。

 軽度の場合は外見上の変形が主な問題ですが、重度になると肺や心臓を圧迫し、呼吸困難、運動時の息切れ、胸痛、不整脈などの症状が現れることがあります。また、消化器症状や呼吸器症状、循環器症状なども報告されています。精神的な影響も大きく、外見の変形によるコンプレックスや社会行動の消極性が見られることもあります。

 治療は、症状の重さや患者の年齢に応じて異なり、軽度の場合は姿勢の矯正や運動療法が行われることもありますが、重度の場合は手術療法が選択されます。特にNuss法と呼ばれる手術は、胸の陥没を修正し、見た目の改善や心肺機能の改善が期待できるとされています。漏斗胸の治療に関する詳細は、専門家に相談することが重要です。

執筆者
院長 宮本貴庸
山形大学医学部 卒業
武蔵野赤十字病院循環器科 部長
東京医科歯科大学医学部 臨床講師
武蔵野赤十字病院総合診療科 部長
東京都教職員互助会 三楽病院循環器内科 部長
武蔵野赤十字病院循環器内科非常勤医(水曜日)として勤務中