循環器内科

がん関連血栓症

がん関連血栓症

さまざまな原因によって、血管内にできた血のかたまりが血管を詰まらせてしまう病気を血栓症といいます。がんに合併して発症する血栓症を「がん関連血栓症」といいます。「静脈血栓塞栓症」の発生頻度が高く、確率でいえばがんではない人に比べて約4~7倍ものリスクがあるとされています。がん関連血栓症の原因は、がん自体が血栓をつくりやすいのと、手術、抗がん剤治療、身体活動性の低下や入院生活など、がん治療に関連する要因が、血栓症リスクを高めると考えられています。

静脈血栓塞栓症の分類


1. 深部静脈血栓症
手足や骨盤の深い部分にある静脈に血栓ができる状態をといい、これは下肢に多く発生します。

2. 肺動脈血栓塞栓症
深部静脈血栓症の血栓が、静脈血液の流れに乗って心臓に向かって移動し、心臓を経由して肺の血管を詰まらせてしまう状態をいいます。大きな血栓が詰まった場合は、命にかかわることがあります。失神を起こす人もいます。血圧が低下するほど重症ではない場合は、呼吸苦や痛みなどの症状が現れることがあります。小さな血栓であれば無症状の方も多いです。

対応方法


1. 症状に気づいたら、すぐにがんの主治医または病院に報告してください。対応方法の指示をいただきましょう。

2. 時間の経過とともに症状が悪化する場合や、呼吸苦や胸の痛み、冷汗などの症状がみられる場合は要注意です。自宅でそのような症状が出た場合は次の受診日を待たず、早めの受診を相談しましょう。できるだけ早く治療を受け、悪化を防がなければなりません。

3. 特に肺血栓塞栓症は急激に悪化することがあります。血圧低下、冷や汗、経皮的酸素飽和度の明らかな低下(90%以下)、失神のどれかがあれば救急対応を考えてよいです。

4. 軽症から命に係わる最重症の方まで幅広い疾患です。重大事にならないような適切な対応が必要です。

5.深部下肢静脈血栓症の診断には下肢静脈エコー検査、肺動脈塞栓症には心エコー検査が有効です。またDダイマー検査が有効です。