院長ブログ

体内式人工ペースメーカーへのスマートフォンの影響

 体内式人工ペースメーカーは、心臓の不整脈を治療するために、胸部や腹部に小さな電子機器を植え込む医療技術です。この機器は、心臓の拍動に応じて電気刺激を送り、正常なリズムを維持します。しかし、この機器は、外部からの電波によって誤動作する可能性があります。特に、近年普及しているスマートフォンは、様々な無線通信システムを利用しており、強い電波を発射します。そのため、スマートフォンと体内式人工ペースメーカーとの距離が近すぎると、ペースメーカーの動作に影響を与える恐れがあります。スマートフォンからの電波が体内式人工ペースメーカーに与える影響については、総務省や医療機器製造業者などが調査や指針を行っています。その結果に基づいて、以下のような注意事項が示されています。

体内式ペースメーカー装着者の注意事項

・体内式人工ペースメーカーを装着した場合は、装着部分からスマートフォンを15cm以上離して携行および使用してください。
・通話をする場合は、医療機器装着部位と反対側の耳に当てて会話することをおすすめします。
・身動きが自由に取れないほど混雑した状況等では、事前にスマートフォンを電波を発射しない状態に切り替えてください。
・定期的に医師や看護師にペースメーカーの動作状況を確認していただいてください。

以上のことを守ることで、体内式人工ペースメーカー植え込み術後の方も安心してスマートフォンを利用できます。

執筆者
院長 宮本貴庸
山形大学医学部 卒業
武蔵野赤十字病院循環器科 部長
東京医科歯科大学医学部 臨床講師
武蔵野赤十字病院総合診療科 部長
東京都教職員互助会 三楽病院循環器内科 部長
武蔵野赤十字病院循環器内科非常勤医(水曜日)として勤務中