院長ブログ

【健診の心電図で「心肥大」指摘】無症状の場合どうすべきか?

心肥大」とは?

心肥大とは、心臓の筋肉が厚くなることで、心臓の働きに影響を与える可能性がある状態です。

心電図で、なぜ「心肥大」を、指摘されたのか?

少し専門的になりますが、以下の2点に集約できます。

1.QRS電位が大きい。
2.左室負荷を示すST-T変化がある。

1.と2.が同時に所見があると、単なる「電位が高いだけ」よりも、実際の左室肥大や高血圧性心疾患の可能性が高くなります。左室肥大にST-T異常を合併すると、単独の場合より脳・心血管疾患死亡リスクが高いことも検診判定マニュアルで言及されています。

心肥大」の原因

心肥大は、高血圧や心臓弁膜症など、心臓に負担がかかる病気が原因で起こることが多くあります。特に頻度としては、高血圧に伴う心臓への負担、いわゆる高血圧性心疾患が重要です。

また、日中の血圧はそれほど高くなくても、睡眠時無呼吸症候群などにより、本人が気づかないうちに夜間の血圧が高くなっている場合があります。このような夜間高血圧も、心臓に負担をかけ、心肥大の原因となることがあります。

一方で、心肥大の背景には、運動習慣や体格、遺伝的な要因が関係していることもあります。また、女性ホルモン、内服している薬剤、体内の電解質バランスの変化などによって、心電図上は心肥大を疑うような所見に見えることもあります。

さらに、頻度は高血圧性心疾患ほど多くはありませんが、見逃してはいけない病気として、肥大型心筋症や拡張型心筋症などの心筋疾患があります。これらは、心筋そのものの病気であり、心電図異常をきっかけに発見されることがあります。

ただし、心電図で「心肥大」と指摘されたとしても、それだけで心臓の筋肉が実際に厚くなっていると確定することはできません。心電図は、心臓の電気的な活動を記録する検査であり、心臓の形、大きさ、心筋の厚みを直接見る検査ではないからです。

したがって、心電図で「心肥大」や「左室肥大疑い」と言われた場合、それはあくまで「心筋肥大の可能性を示す所見」と考える必要があります。実際に心筋が厚くなっているか、心臓の大きさや動きに異常がないかを確認するためには、心臓超音波検査、必要に応じて心臓MRIなどの画像検査が必要になります。

心電図の所見だけで不安になりすぎる必要はありませんが、背景に高血圧、夜間高血圧、睡眠時無呼吸症候群、弁膜症、心筋症などが隠れていることもあります。そのため、心電図で心肥大を指摘された場合には、血圧の評価や心臓超音波検査などを行い、原因を確認していくことが大切です。

心肥大」への追加の検査とは?

採血検査でナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質の検査に加えて、貧血ほか一般的なスクリーニングが行われます。さらに心臓の負荷状態を測定するNT-pro BNPやBNPを測定します。

心臓超音波検査、心臓MRI検査などの画像診断法で、心臓の形や大きさを詳しく調べることが必要です。

心肥大は一般的には心筋の問題を考えますが、同様な変化は、冠動脈疾患や弁膜症でもあるので、心臓超音波検査による原因を特定するための検査が必要になります。

心肥大の原因や程度によっては、薬物療法や手術などの治療が必要になる場合があります。

無症状の方へのメッセージ

健康診断の心電図で「心肥大」と言われた場合は、まずは落ち着いてください。症状がないということは、一般的に、現時点では、今日明日中に、重大心事故が起こるような重篤な状態ではないと思われます。

しかし、症状がないままに放置され、危険な状態になった方も診察してまいりました。心電図変化は、ひとまず循環器専門医に相談してください。循環器専門医は、あなたの病歴や生活習慣などを聞いて、適切な検査や治療をさがしてくれます。

心肥大は、早期発見・早期治療が重要です。気になることがあったらご相談ください。

執筆者
院長 宮本貴庸
武蔵野赤十字病院循環器科 部長
東京医科歯科大学医学部 臨床講師
武蔵野赤十字病院総合診療科 部長
東京都教職員互助会 三楽病院循環器内科 部長
武蔵野赤十字病院循環器内科非常勤医(水曜日)として勤務中

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