院長ブログ

心不全管理上の体重測定の大切さについて

院長 宮本貴庸


山形大学医学部 卒業
武蔵野赤十字病院循環器科 部長
東京医科歯科大学医学部 臨床講師
武蔵野赤十字病院総合診療科 部長
東京都教職員互助会 三楽病院循環器内科 部長
武蔵野赤十字病院循環器内科非常勤医(水曜日)として勤務中

[2023.06.29]

心不全とは?

心不全は、心臓が血液を十分に送り出せない状態で、全身の臓器に血液や酸素が不足することでさまざまな症状が起こります。

心不全の原因は多岐にわたりますが、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、心臓弁膜症、心筋症、心房細動などの不整脈などが主なものです。心不全は、進行すると重篤な合併症や死亡につながる可能性があります。

心不全による体重増加の危険性

心不全の管理には、薬物療法や運動療法、食事療法などがありますが、その中でも体重測定は非常に重要です。なぜなら、体重の増加は、水分の過剰な蓄積を示す可能性が高く、心不全の悪化のサインとなるからです。

特殊な状況を除けば、成人以降の場合、急激な体重増加は成長によるものでは決してなく、余剰な水分が体に溜まった状態と考えたほうが正しいと思われるからです。水分の過剰な蓄積は、浮腫や呼吸困難、胸水などを引き起こし、生命に危険を及ぼします。

体重管理の具体的方法 体重測定は、毎日同じ時間に同じ服装で行うことが望ましいです。体重の急激な変化には注意が必要です。特に、2~3日で2kg以上増加した場合や、1週間で3kg以上増加した場合は、医師や看護師に相談してください。

体重測定の結果は記録しておくと良いでしょう。記録することで、自分の体調や心不全のコントロール状態を客観的に把握することができます。

まとめ

心不全管理上の体重測定は、自己管理の一つとして大切です。体重測定を日常的に行うことで、心不全の悪化を早期に発見し、適切な対処をすることができます。心不全は治る病気ではありませんが、適切な管理を行うことで、生活の質を向上させることができます。