貧血の薬、鉄剤を服用している場合、定期的に血液検査を受けることが推奨されます。血液検査では、貧血の原因や程度、鉄剤の効果や副作用などを確認することができます。特に、鉄剤を長期間服用している場合や、鉄剤の種類や量を変更した場合は、採血を行うことで鉄過剰症や肝機能障害などのリスクを予防することができます。生理の出血が問題で貧血になっていて鉄剤を内服していた女性が、ピルによる治療や更年期後生理出血が減少したりすると鉄が過剰になる恐れもあります。
鉄が過剰になると体にどんな副作用が出ますか?
鉄は生命に必要な微量元素ですが、過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼすことがあります。鉄過剰症とは、体内に鉄が過剰に蓄積される状態で、遺伝性のものと二次性のものがあります。遺伝性の鉄過剰症は、鉄を代謝する遺伝子の変異により、腸からの鉄の吸収が亢進することで起こります。二次性の鉄過剰症は、繰り返しの輸血や鉄剤の過剰摂取など、外的要因により起こります。
鉄過剰症の主な症状
疲れやすさ、肝障害、関節痛、心不全、糖尿病、甲状腺機能低下などがあります。これらの症状は、鉄が臓器に沈着し、細胞を傷つけることで引き起こされます。特に肝臓は鉄を貯蔵する場所であり、鉄代謝を調節する物質を分泌する場所でもあるため、鉄過剰症では肝硬変や肝癌のリスクが高まります。また、鉄は細菌やウイルスの増殖に必要な栄養素でもあるため、感染症にかかりやすくなることもあります。
鉄過剰症の診断
血液検査で血清フェリチンやトランスフェリン飽和度などの指標を測定することで行われます。また、肝臓や心臓などの臓器への鉄沈着度を調べるためにMRI検査も行われることがあります。
鉄過剰症の治療
内服している鉄剤があればその中止です。検査による原因の推定のあと、一般的には定期的な献血(血液を抜くことにより鉄を減らす意味、瀉血とも言う。)や鉄キレート剤(鉄と結合して体外へ排出させる薬)の投与が行われます。また、食事では動物性食品やビタミンCなどの鉄吸収を促進する食品を控えることも必要です。
以上のように、鉄は生命に必要な微量元素ですが、過剰に摂取すると体に様々な障害を引き起こす可能性があります。そのため、自己判断で鉄剤を摂取したり、無理な輸血を受けたりしないように注意しましょう。また、定期的な健康診断で血液中の鉄量をチェックしましょう。採血の頻度やタイミングは、医師や薬剤師と相談して決めてください。