院長ブログ

心電図で、脚ブロックが指摘された場合の対処方法について

脚ブロックとは?
心臓内の電気刺激は、左心室内を右脚と左脚に分かれて伝達されます。電気の通りが悪い状態を「ブロック」といい、そのため脚ブロックは右脚ブロックと左脚ブロックに分けられます。さらに、電気の通りが非常に悪い場合は「完全脚ブロック」、通りが少し悪い場合は「不完全脚ブロック」と呼ばれます。

完全右脚ブロックの頻度と対処
完全右脚ブロックは、健康な人でも比較的よく見られる心電図所見の一つです。一般的には、完全右脚ブロックは治療を必要としないことが多いです。

しかし、以前に指摘されていなかった場合や症状がある場合は、循環器内科の受診を検討してください。

完全左脚ブロックの頻度と対処
完全左脚ブロックは、成人検診において比較的まれな所見です。具体的には、成人検診70524例中、完全左脚ブロックは33例(約0.05%)と報告されています。この頻度は完全右脚ブロック(1.2%)に比べて頻度が低いです。

完全左脚ブロックは、重大な心臓病が隠れている可能性が高いため、初めて指摘された場合は必ず循環器内科を受診し、精密検査を受けることが重要です。
心筋や弁などの心臓基礎疾患を検討するために心臓超音波をおすすめすることがあります。動悸などがあれば、動悸の原因を探るためHolter心電図なども検査する可能性があります。心臓の負荷を見るために、心臓のホルモンや心筋障害マーカなども検討の対象になるかもしれません。

以上気になる場合には、ご相談ください。

執筆者
院長 宮本貴庸
武蔵野赤十字病院循環器科 部長
東京医科歯科大学医学部 臨床講師
武蔵野赤十字病院総合診療科 部長
東京都教職員互助会 三楽病院循環器内科 部長
武蔵野赤十字病院循環器内科非常勤医(水曜日)として勤務中