血圧の薬を飲んでいると何故グレープフルーツがダメなのか
グレープフルーツには、フラノクマリンという物質が含まれています。この物質は、カルシウム拮抗薬という種類の血圧の薬と相互作用を起こし、薬の効果を強めることがあります。カルシウム拮抗薬は、血管を広げて血圧を下げる薬ですが、効きすぎると血圧が低下しすぎて危険な状態になることがあります。そのため、カルシウム拮抗薬を服用している人は、グレープフルーツやそのジュースを避けるように言われます。
フラノクマリンが血圧低下を進めすぎてしまう
フラノクマリンは、グレープフルーツだけでなく、ハッサクやぶんたんなどの柑橘類にも含まれています。また、フラノクマリンの含有量は、品種や季節によって変わります。フラノクマリンという物質は、グレープフルーツの果皮や果肉、果汁に分布していますが、特に果皮に多く含まれています。
一般的なグレープフルーツの果皮の重量は約100グラムで、そのうちフラノクマリンの含有量は約40ミリグラムと推定されています。果肉や果汁には、それぞれ約10ミリグラムと約5ミリグラムのフラノクマリンが含まれていると考えられます。したがって、グレープフルーツ全体の重量が約400グラムと仮定すると、フラノクマリンの含有量は約65ミリグラムとなります。
フラノクマリンは、薬を分解する酵素の働きを阻害することで、カルシウム拮抗薬と相互作用を起こします。この酵素は、小腸や肝臓に存在し、多くの薬物の代謝に関与しています。そのため、フラノクマリンは、カルシウム拮抗薬以外の薬とも相互作用を起こす可能性があります。
グレープフルーツ摂取後によるカルシウム拮抗薬の服用
グレープフルーツやそのジュースを飲んだ後にカルシウム拮抗薬を服用すると、カルシウム拮抗薬の血中濃度が上昇します。これは、小腸でのカルシウム拮抗薬の吸収が増えるためです。また、グレープフルーツやそのジュースを飲んだ後に数日間は、肝臓でのカルシウム拮抗薬の分解が減るためです。このようにして、カルシウム拮抗薬の効果が強くなりすぎて、血圧が下がりすぎることがあります。血圧が下がりすぎると、頭痛やめまい、ふらつきなどの症状が出たり、重篤な場合は心不全やショックに陥ったりする恐れがあります。
したがって、カルシウム拮抗薬を服用している人は、グレープフルーツやそのジュースを含む柑橘類を避けることが望ましいです。もしグレープフルーツやそのジュースを飲んでしまった場合は、医師や薬剤師に相談してください。